2025年1月30日 (木)

マラウイでの活動報告―2024年12月

CanDoはマラウイ共和国パロンベ県の初等学校において、ライフスキル教育を基盤とした教育と健康・安全を保障する活動形成事業を2023年12月に開始。JICA草の根技術協力の受託事業で、県の9教育区のうち4教育区が対象、事業期間は3年間です。父母リーダーへの研修とその後の活動形成、および教員への研修を行ないます。前半の1年半の活動地は、モザンビーク国境に接したナゾンベ教育区(11校)とクランベ教育区(12校)です。

□父母リーダーによる学習会の開催―学習会開催のためのフォローアップ会議

ライフスキル教育の研修を修了した父母リーダーによる一般保護者に向けた学習会の開催が低調なため11月にフォローアップ会議を開始(4校で開催)。12月は4校で開催しました―父母リーダー、チーフ、学校関係者が参加。
ナゾンベ教育区ロングエ校では11月27日の話し合いをもとに、他のNGOがモモラ村で継続的に行なっている緊急食糧援助を兼ねた土壌保全作業のあとに、12月11日、父母リーダーが学習会を開催(写真)。

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11月26日にフォローアップ会議を開催したナゾンベ教育区マンガジ校では、父母リーダーが通学圏のムワラ村で12月13日に学習会を開催しました。

□ 父母リーダーによる学校活動―活動計画づくりと覚書締結

12月にナゾンベ、クランベ教育区の全23校と当会との間の覚書締結を完了しました。
クランベ教育区タル校では、12月4日に保護者会議を開催して、2017年に建設が中断した生理ナプキン交換室つき女子トイレ建設を進めることで覚書を締結し、対象の女子トイレを視察しました。後日、当会専門家を派遣して、大きな亀裂がある交換室の一部は、トイレの基礎上にないため、取り壊して基礎上に壁を再建する必要があることが判明しました。交換室が狭くなることを確認し、トイレを予定している別室を交換室とすることで合意しました。

□ 父母リーダーによる学校活動―活動計画の実践

実践活動の実施は、これまでナゾンベ教育区の全11校、クランベ教育区12校のうち6校の計17校で資材供与を行ないました。11月までに6校、12月に1校で活動が完了しました。
12月13日、クランベ教育区タンベ校で男子用小用スペース1棟の建設が完了。崩壊したトイレの便槽までの下水パイプを敷設しました。父母リーダーが活動計画で提示した子どもが抱える課題は、①衛生環境の不足、②排泄物の臭い、③不衛生な環境による下痢や咳。100米ドルで取り組める活動として、①男子用小用スペースの建設、②机の修理を提案。一般保護者は、①男子用小用スペースの建設を選び、9月17日に覚書を締結しました。11月20日に最初に資材供与。セメント(50kg)8袋を供与し、学校側はセメント1袋、排水管、レンガを負担しました。

10校で活動を継続しています。そのうちナゾンベ教育区の4校では活動が低調です。当会専門家からの技術指導を早めに切り上げ、技術を学んだ父母リーダーと現地職人が、最終段階での自律的な活動が適切に展開できていないことが、11月に理由としてあげられました。12月も、父母リーダー、学校関係者ならびに担当教育官との話し合いを行なって適切な終了を促しています。
写真は、クランベ教育区ムロザ校での机修理。

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□ミテケテ教育で父母リーダー育成の合意形成

事業期間の前半に実施しているナゾンベ、クランベ教育区に次いで、後半の事業対象とする2教育区のうち、ミテケテ教育区(8校)での合意形成を開始しました。
12月11日、ミテケテ教育区教育官(PEA)と協議(写真右の女性。中央は当会調整員)。教員開発センター助手(ACCO)が同席しました(写真左)。

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当会を紹介し、事業の概要、父母リーダー育成と学校活動について説明。当会が各校を訪問して合意形成を行なうことで合意しました。教育官が各校?と連絡をとって、訪問日を調整しました。
12月には、全8校のうち4校を訪問して、校長、ライフスキル教員、所在地チーフ、学校運営委員会議長など学校関係者に事業の説明をしました。そして、各校の基本情報として、学校設立の経緯、地域社会の形成史、通学圏の村々の位置、地域の自然・経済・民族、子どもの課題などを聞き取りました。

 

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2024年12月16日 (月)

マラウイでの活動報告―2024年11月

 CanDoはマラウイ共和国パロンベ県の初等学校において、ライフスキル教育を基盤とした教育と健康・安全を保障する活動形成事業を2023年12月に開始。JICA草の根技術協力の受託事業で、県の9教育区のうち4教育区が対象、事業期間は3年間です。父母リーダーへの研修とその後の活動形成、および教員への研修を行ないます。前半の1年半の活動地は、モザンビーク国境に接したナゾンベ教育区(11校)とクランベ教育区(12校)です。

□父母リーダーによる学習会の開催―学習会開催のためのフォローアップ会議

 学習会の開催が低調であるため、新たな試みとして、各校において父母リーダー、学校関係者、チーフでフォローアップ会議を開始しました。11月には4校で実施。
 父母リーダーが研修手順書をもとに発表し、参加者が配布資料を見ながら聞く形は、参加者の理解が深まる、と評価されています。一方、学校や村の集会の中で、短時間の発表機会が与えられても対応できていないことが報告されました。発表時間が10分程度の手順書のニーズについて話し合いました。
 ナゾンベ教育区マンガジ校の父母リーダーは、学習会でジュースなど副次的利益の提供がないことに参加者が反発する様子を報告。一方で、意識が高そうな参加者に丁寧に説明して理解を広めたことや、チーフによる説得の効果が高いことなどを報告しました。
 ナゾンベ教育区チタオタオ校の父母リーダーは、1月~2月は農繁期で保護者が農作業で忙しく、子どもは家事や農作業の手伝いをするため、?期欠席、そして中退につながりやすい、と課題を提起しました。


□ 父母リーダーによる学校活動―行動計画づくりと覚書締結

 父母リーダーによる学校活動について、クランベ教育区(12校)の4校で当会と行動計画の覚書を締結しました(前月までの4校に続いて計8校)。行動計画では、父母リーダーが子どもの教育・健康・安全に関する具体的な課題を確認し、その改善のために、資機材購入費100米ドルの範囲でできる2つの活動を提案します。そして、保護者会議で行動計画を説明し、保護者はうち1つを選んで実施します。父母リーダーと保護者が、子どもの課題への理解を深め、改善につながる活動を実践することを目指しています。
 これまで、クランベ教育区で合意している活動は、教室床の補修、机の修理、男子・女子トイレの建設、太陽光電灯の設置です。


□父母リーダーによる学校活動―ナゾンベ教育区の1校で完了、4校で継続、クランベ教育区の2校で実施

 ナゾンベ教育区における実践活動は1校で教室の床補修が完了しました(10月までに4校で完了)。4校での活動は低調に継続しています。当会専門家からの技術指導を早めに切り上げ、技術を学んだ父母リーダーと現地職人が、最終段階での自律的な活動が適切に展開できていないことが理由としてあげられます。今後、父母リーダーや学校関係者との話し合いを行なって適切な終了を目指します。
 クランベ教育区では、2校で、教室の床補修と男子小用トイレの建設を実施しています。

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写真は、各校での活動の様子。

 

□教員研修のためのベースライン調査・教員との合意形成―ライフスキル授業を観察、生徒および教員への聞き取り

 教員研修のためのベースライン調査ならびに教員との合意形成として、1日で、ライフスキル授業の観察、授業直後の生徒からの聞取り調査、ライフスキル教員への聞取り調査を1日で実施。ナゾンベ教育区の2校、ナゾンベ教育区の4校で実施しました(現在までに、ナゾンベ教育区11校全校、クランベ教育区12校のうち10校で実施)。

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2024年12月10日 (火)

マラウイでの活動報告―2024年10月

CanDoはマラウイ共和国パロンベ県の初等学校において、ライフスキル教育を基盤とした教育と健康・安全を保障する活動形成事業を2023年12月に開始。JICA草の根技術協力の受託事業で、県の9教育区のうち4教育区が対象、事業期間は3年間です。父母リーダーへの研修とその後の活動形成、および教員への研修を行ないます。前半の1年半の活動地は、モザンビーク国境に接したナゾンベ教育区(11校)とクランベ教育区(12校)です。


□ 父母リーダーによる学校活動―行動計画づくりと覚書締結

 父母リーダーによる学校活動について、クランベ教育区の12校で13回の当会と父母リーダーとの行動計画づくりの協議を実施しました(9月に11回)。そのうち、9月の2校に続いて、2校で当会との覚書締結を行ないました。
 行動計画では、父母リーダーが子どもの教育・健康・安全に関する具体的な課題を確認し、その改善のために、資機材購入費100米ドルの範囲でできるする2つの活動を提案します。そして、保護者会議で行動計画を説明し、保護者はうち1つを選んで実施します。作成過程に当会スタッフも関わることで、父母リーダーが100米ドルでの活動を子どもの課題や研修で学んだことと関連付けて把握すること、一般保護者との関係作りを進めることを目指しています。

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写真は、父母リーダーと当会スタッフとの協議の様子。


□父母リーダーによる保護者向け学習会の開催

 当会が父母リーダーに期待する役割のひとつは、一般の保護者向けに学習会を開催して、研修で理解を深めた、子どもの教育と健康・安全に関する課題と対処法を分かりやすく伝えることです。研修で使用した補助教材のチェワ語版を活用します。当会は必要数を印刷して持ち込み、学習会を観察します。スタッフが参加できない場合は、父母リーダーから実施報告書を提出してもらう方法で進めていますが10月はナゾンベ教育区、クランベ教育区ともに低調で、クランベ教育区の1校の開催にとどまりました。「栄養」および「エイズの治療・予防について」、父母リーダー4人が発表に取り組み、144人の保護者が参加しました(7月には「子どもの保護」で実施)。

 

□教員研修のためのベースライン調査・教員との合意形成―ライフスキル授業を観察、生徒および教員への聞き取り

 教員研修のためのベースライン調査ならびに教員との合意形成として、1日で、ライフスキル授業の観察、授業直後の生徒からの聞き取り調査、ライフスキル教員への聞き取り調査をナゾンベ教育区の3校で実施しました(現在までに、ナゾンベ教育区11校のうち9校、クランベ教育区12校のうち6校で実施)。

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写真は各校のライフスキル授業の様子


□父母リーダーによる学校活動―ナゾンベ教育区の2校で活動計画を実践

◆マンガジ校
(8月26日 覚書締結/9月23日 最初の資材供与/10月9日 活動完了)
 父母リーダーから、活動計画で子どもが抱える課題として2点が提示されました。
①清潔でない教室の床に座ることによる疾病 ②生理ナプキン交換室の不足による、生理期間中の女子生徒の欠席
 次に100米ドルで取り組める活動として、次の2つが提案されました。
①8年生の教室の床補修 ②生理ナプキン交換室の補修
 一般保護者は①8年生の教室の床補修を選びました。当会は資材としてセメント(50kgを与し、学校側は負担:セメント(50kg)2袋、現金MWK5,000を負担し、1教室の床補修が行なわれました。
 
◆チタオタオ校
(8月20日 覚書締結/9月6日 最初の資材供与/10月28日 活動確認)
 提示された子どもが抱える課題は、①机の不足 ②ホコリによる疾病、③教室でのケガ。提案された活動は、①机の修理 ②教室の床補修。一般保護者は①机の修理を選びました。当会は資材として、木材(1*8*108インチ)88枚、ボルト・ナット216組を供与しました。机・いす(一体型)15脚の修理を確認しました(残りの木材38枚はボルト・ナット60組)。

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写真は修理が完了した机―右上は壊れた机・いすでいっぱいの教室内(8月20日撮影)

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2024年10月25日 (金)

マラウイでの活動報告―2024年9月

 CanDoはマラウイ共和国パロンベ県の初等学校において、ライフスキル教育を基盤とした教育と健康・安全を保障する活動形成事業を2023年12月に開始。JICA草の根技術協力の受託事業で、県の9教育区のうち4教育区が対象、事業期間は3年間です。父母リーダーへの研修とその後の活動形成、および教員への研修を行ないます。前半の1年半の活動地は、モザンビーク国境に接したナゾンベ教育区(11校)とクランベ教育区(12校)です。


□ 父母リーダーによる学校活動―ナゾンベ教育区の3校で活動計画を実践

◆マンバラ校
(8月24日 覚書締結/9月10日 最初の資材供与/9月18日 活動完了)
 父母リーダー、校長、村長、保護者代表、そして一般保護者も参加する会議が開催され、父母リ―ダーから子どもが抱える課題として3点が提示されました。
①教室でのケガ ②ホコリによる疾病 ③教室内で座る困難
 次に父母リーダーから解決策として活動計画とその中で、100米ドルで取り組める活動として、次の2つが提案されました。
 ①教室の床補修 ②机の修理の活動
 一般保護者は①教室の床補修を選びました。当会は資材としてセメント(50kg)8袋を供与。 6教室の床を補修し、障がいのある子どもに配慮したスロープを1か所設置しました。

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◆シヤマンダ校
(8月15日 覚書締結/9月5日 最初の資材供与/9月23日 活動完了)
 子どもが抱える課題として2点が提示されました。
①清潔でない教室の床に座ることによる疾病 ②服が汚れること
 次に父母リーダーから活動計画と次の2つの活動が提案されました。
①教室の床補修 ②?椅子の作製
一般保護者は①教室の床補修を選びました。資材として、セメン(50kg)8袋を当会が供与。2教室、廊下1つとキッチンの床を補修し、斜路を2か所設置しました。

◆ロングエ校
(8月23日 覚書締結/9月5日 最初の資材供与/9月18日 活動完了)
 子どもが抱える課題として3点が提示されました。
①教室不足で雨や強風の日も木陰で授業 ②壊れた机 ③寒さのためカゼをひきやすい
 次に父母リーダーから活動計画と次の2つの活動が提案されました。
①教室の床補修 ②机の修理
一般保護者は①教室の床補修を選びました。当会はセメント(50kg)8袋を供与。4教室とキッチンの床を補修しました。


□父母リーダーによる地域活動の形成―村人向け学習会の開催

 父母リーダーが地域の村長に働きかけ、村長が村人を招集して、父母リーダーが発表する村人向けの学習会を、ナゾンベ教育区の2校の通学圏の2 村で開催できました。父母リーダーは、研修で学んだ12テーマのから発表内容を決めて、研修手順書のチェワ語版とライフスキル教科書を引用した配布資料を用いて発表します。
 9月19日、ロングエ校ユア村での学習会では、リーダー4人が「第10回 社会の中の脆弱な人々」について発表(村人227人、こども88人が参加)。村の孤児へのケアについて扱った内容です。発表者は、娘のいる女性と再婚した村の男性が、その娘と性的関係をもっていることを指摘しました。生活のケアと引き換えに性的虐待をすることを強く非難し、参加者と議論を展開しました。

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□事業モニタリング

 9月17日から19日まで、JICA東京の担当者がパロンベ県で本事業のモニタリングを実施しました。JICAマラウイ事務所からも参加。パロンベ県知事、教育局副局?ならびにパロンベ教員養成大学学?と面会し、今後も事業への綿密な協力関係を継続することを確認しました。
 父母リーダー活動の形成のうち学校活動では、2校で活動計画を承認し覚書を締結する会議、3校で実践活動を観察、2校での活動準備で父母リーダーへの聞き取りに参加しました。
 教員研修の形成では、2校でライフスキル授業を参与観察し、子どもへの聞き取りと教員との話し合いを実施しました。
 地域活動の形成では、2校でそれぞれ1村での父母リーダーによる学習会に参加しました。
 

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2024年10月11日 (金)

マラウイでの活動報告―2024年8月

CanDoはマラウイ共和国パロンベ県の初等学校において、ライフスキル教育を基盤とした教育と健康・安全を保障する活動形成事業を2023年12月に開始(県の9教育区のうち4教育区が対象。事業期間は3年間)。父母リーダーへの研修とその後の活動形成、および教員への研修を行ないます。
前半の1年半の活動地は、南部のモザンビーク国境に接した、ナゾンベ教育区(11校)とクランベ教育区(12校)です。

□父母リーダーによる学校活動―各校で活動計画を作成

クランベ教育区の全11校で、父母リーダーが、研修で学んだことを参考にしながら、学校の子どもが抱えている課題の解決策を活動計画として作成。そのうち100米ドルで取り組める2つの活動を検討しました。
各校で予算を検討するにあたって、2点を前提条件としています。
①活動に現地職人が必要な場合は、父母リーダーがボランティアの現地職人を確保し、当会から技術指導する専門家を派遣すること
②資機材の購入は当会が実施し、学校まで搬入すること

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写真は、2023年3月のサイクロン被害で、使用前に壊れた生理ナプキン交換室つき女子トイレの様子。

 

□父母リーダーによる学校活動―各校で活動計画の覚書を締結

ナゾンベ教育区の全11校では、作成が終わった活動計画と2つの活動について、父母リーダーが、校長、村長、保護者代表、そして役職のない一般保護者に説明する会議を開催しました。その話し合いでは同じような意見と反応がみられました。
「現地職人がボランティアで参加するはずはない」との発言に対して、会議に参加している現地の職人が「無償での参加」を説明し、納得しました。当会が専門家には保護者から食事などを提供しなくてよいことを説明し、安心。「この活動で父母リーダーは利益を得るのではないか」という直截な質問に、資機材の購入は当会が行ない、リーダーは現金を扱わないことを説明し、納得しました。
話し合い後、一般保護者が活動から1つを選択します。現地職人が必要な作業に無償参加することを確認して、学校と当会とで覚書を締結しました。

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□父母リーダーによる地域活動の形成―村人向け学習会を開催

8月は休校期間のため、父母リーダーによる学校での保護者向け子どもの教育と健康・安全学習会の開催は難しく、1校で1件自主開催されたことの確認にとどまりました。
一方、父母リーダーが地域の村長に働きかけ、村長が村人を招集して、父母リーダーが発表する村人向けの学習会が2校の通学圏の3村で開催できました。
父母リーダーは、研修で学んだ12テーマから、発表する内容を決め、研修手順書のチェワ語版とライフスキル教科書を引用した資料を用いて発表します。当会は、父母リーダーの事前連絡をもとに、当日発表するテーマに関連する資料を必要な数だけ印刷して持ち込んで、発表を観察しました。発表している内容に馴染みがない村人にとっては、チェワ語で作成され、絵が入っている資料を手元におくことで、内容を理解しやすくなると思われます。

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2024年9月 5日 (木)

マラウイでの活動報告―2024年7月

CanDoはマラウイ共和国パロンベ県の初等学校において、ライフスキル教育を基盤とした教育と健康・安全を保障する活動形成事業を2023年12月に開始(県の9教育区のうち4教育区が対象。事業期間は3年間)。前半の1年半の活動地は、南部のモザンビーク国境に接した、ナゾンベ教育区(11校)とクランベ教育区(12校)です。父母リーダーへの研修とその後の活動形成、および教員への研修を行ないます。

□父母リーダーへの研修

ナゾンベ教育区に続いて、クランベ教育区で父母リーダーへの子どもの教育と保健・安全の保障と伝達方法集合研修を実施しました(6月に2回。8月1日で完了)。
研修手順書および配布資料を英語とチェワ語での作成とその改善を継続しました。それらの資料を父母リーダーに提供することで、研修後の相互学習と学習会の開催の促進を図っています。
研修に出席する父母リーダーへの交通費の支給の手順を確立しました。父母リーダー全員に事前に携帯電話の現金決済口座を登録してもらいます。研修中に口座へ送金し、終了時に各人が入金を確認し、当会の書類に署名をします。

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□研修を修了した、父母リーダーによる保護者向け学習会の開催

父母リーダーは、研修で提供された研修手順書のチェワ語版を活用して、初等学校で保護者向けに子どもの教育と健康・安全学習会を開催します。学習会での発表にあたり、当会は補助教材を必要数印刷して持ち込み、学習会を観察します。スタッフが参加できない場合は、父母リーダーから実施報告書を提出してもらいます。
ナゾンベ教育区の2校で3回、当会のスタッフ参加が参加して学習会が開催されました。のべ36人の父母リーダーが研修で学んだことを説明しました(参加者はのべ279人)。
クランベ教育区では、当会スタッフが参加して7校で7回、そして参加はなしで3校3回の学習会が開催されました。合わせてのべ73人の父母リーダーが説明しました(参加者はのべ1,508人)。

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□父母リーダーによる学校活動

父母リーダーによる学校活動の行動計画書の様式を作成し、クランベ教育区でも第11回の研修の終了後、別途、作成の説明会を開催しました。
ナゾンベ教育区の10校で計14回、当会と父母リーダーとの活動の行動計画協議を実施しました。父母リーダーが子どもの教育・健康・安全に関する具体的な課題を確認し、その改善のために保護者と協働して、資機材購入費100米ドルの範囲でできる2つの活動案を作成します。保護者総会で計画を説明して、うち1つの活動選んで実施する流れです。作成過程に当会スタッフも関わることで、父母リーダーが子どもの課題や研修で学んだことと関連付けて活動を把握すること、そして一般保護者との関係づくりを進めることを目指しています。

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2024年8月16日 (金)

フォト・レポート―マラウイでの活動 1月~6月

2024年1月

パロンベ県知事と事業について確認/初等学校でライフスキル教育の授業を観察

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2024年3月

初等学校のライフスキル教育の授業で行なわれているグループ学習

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2024年4月

各校で父母リーダーの参加の意思を確認/ライフスキルの教科書を供与

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2024年5月

村人への質問票調査/父母リーダー研修/父母リーダーによる学習会 

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2024年6月

父母リーダー研修/村人への質問票調査

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2024年7月24日 (水)

マラウイでの活動報告―2024年6月

パロンベ県において、ライフスキル教育を基盤とした教育と健康・安全を保障する活動形成事業を2023年12月に開始しました。県の9教育区のうち4教育区を対象として、事業期間は3年間。最初の1年半の対象となる2教育区は、県教育局の提案により、南部のモザンビーク国境に接した、ナゾンベ教育区(11校)とクランベ教育区(12校)になりました。父母リーダーへの研修とその後の活動形成、および教員への研修を行ないます。どちらも、ベースライン調査、合意形成をしてから研修を実施します。

7か月目となる6 月、父母リーダー活動の形成のベースライン調査では、クランベ教育区において全ての父母リーダー、抽出した3 校の学校関係者、および3校のうち 1 校の 2 村での村 人への質問票調査を実施しました。同教育区でチーフ、校長、保護者代表との合意形成が完了しました。

ナゾンベ教育区における研修は6 月 21 日に全 12 回を完了しました。平均出席率は98.9%になります。クランベ教育区では2 回の研修を実施。平均出席率 96.67%。英語とチェワ語で作成する研修手順書および配布資料の改善を続けています。資料は父母リーダーに提供。研修後の相互学習と学習会の開催の促進を図っています。

ナゾンベ教育区では、研修を修了した父母リーダーによる保護者向け学習会が実施されました。4校での4 回は当会スタッフも参加、2 校 2 回は自主開催。合わせて父母リーダーのべ50 人が研修で学んだことを説明しました。参加者はのべ382 人。

父母リーダーによる学校活動については、行動計画書の様式を作成。ナゾンベ教育区での第11 回、第12 回の研修の終了後、説明会を開催しました。

教員研修の形成に関して、学校を訪問して行なうベースライン調査は、父母リーダー研修を優先したため実施できませんでした。

ライフスキル教科書の供与がクランベ教育区でも完了しました。

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2024年6月12日 (水)

マラウイでの活動報告―2023年10月~12月/2024年1月~5月

■ライフスキル教育を基盤とした子どもの教育と健康・安全を保障する活動形成事業
―(独行)国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業*(パートナー型)

 2023年9月、JICAマラウイとパロンベ県知事が事業の合意書に署名。当会と県教育局長が証人として署名しました。

 12月1日、JICAと当会との間で業務委託契約を締結して、正式に事業が始まりました。事業期間は2026年11月30日までの3年間。パロンベ県の9教育区のうち4教育区で実施します。

 最初の1年半の対象として、県教育局がナゾンベ教育区とクランベ教育区を提案して、当会も同意しました。事業開始前の9月から学校を訪問し、学校関係者から地域の成り立ち、学校設立の経緯、子どもが抱える教育・健康・安全の課題を聞き、事前調査を行ないました。

*草の根技術協力事業は、日本のNGO、大学、地方自治体及び公益法人の団体等が企画した協力活動をJICAが支援し、共同で行ないます。実施にあたっては、JICAとNGO等との間で業務委託契約書を締結し、JICAがNGO等に事業を委託します。

***

◇2024年1月

 パロンベ県知事と事業の趣旨と方針について確認しました。県教育局次長およびナゾンベ教育区とクランベ教育区の教育官と研修内容について協議しました。ナゾンベ教育区11校とクランベ教育区12校、計23校が対象となります。

 父母リーダー研修の開催に向けて、ベースライン調査で収集するデータの項目を整理。学校関係者との合意形成の会議の手順書、父母リーダー候補に対して事業と期待する役割の説明し、参加の同意を確認する手順書、そして応募書類の作成を進めました。

 教員研修の開催に向けて、ナゾンベ教育区教育官と学校訪問に関する協議を行ないました。ナゾンベ教育区の2校19人の教員から、ライフスキル教育に関する聞き取り調査を行ないました。ベースライン調査で4 校を訪問し、計16のライフスキル教育の授業(生徒数計 1,335 人)を観察しました。うち11の授業の後、生徒から聞き取り調査を行ないました(生徒数計 915 人)。

◇2月

 学校関係者との合意形成の会議手順書を作成しました。ナゾンベ教育区・クランベ教育区の6校で合意形成会議を実施(計76人が参加)。全ての学校で活動に参加する意思を確認しました。

 教員研修に向けてナゾンベ教育区3 校でベースライン調査を実施しました。12のライフスキル教育の授業(生徒 数計1,007 人)を観察。うち9つの授業の後、生徒から聞取り調査を行ないました(生徒数計 759 人)。1月に実施した4校と合わせて7 校で、教員計76 人からライフスキル教育について聞き取り調査を実施しました。
 
 父母リーダー研修に向けた、ベースライン調査への助言を JICA マラウイ事務所の専門家などから得ました。JICAの「みんなの学校」プロジェクト―学校運営委員会が行政と連携して運営―を行なっている3校の保護者活動を見学しました。

◇3月

 学校関係者との合意形成会議を、ナゾンベ教育区・クランベ教育区の17 校で実施(計 248人が参加)。事業参加の意思を確認しました。2月に実施した6校と合わせて、2教育区の対象全23 校と合意しました。

 父母リーダー研修に向けたベースライン調査で使う、学校関係者、父母リーダー、村人対象の3種類の質問票案を作成しました。
 
 学校および父母リーダー各人が提出する事業参加申込書様式を作成。ナゾンベ教育区・クランベ教育区全 23 校に配布しました。

 教員研修に向けたベースライン調査で、ライフスキル授業の観察、生徒からの聞き取り、次に教員への聞き取りを 1 日で実施する手順をまとめました。ナゾンベ教育区の2 校で計4 のライフスキル授業を観察(生徒 数計352 人)。そのうち2 つの授業の後で生徒から聞き取り調査(計181 人)を行ないました。教員 22 人から聞き取り調査を実施。

◇4月

 ナゾンベ教育区全11校の父母リーダー候補との会議を各校において開催し、活動の概要、目標、参加条件について説明しました。欠席者には個別会議を行なって、全員から参加の同意を得ました。
 
 父母リーダーへの8テーマの研修の手順書を作成(子どもの成長と健康、感染症予防、エイズ問題、プライマリヘルスケア/子どもの権利、虐待や性被害・加害の予防、早期結婚や妊娠予防/洪水被害の予防)。内容について、担当する専門行政官から原則同意を得ました。ナゾンベ教育区において5月8日に開始する研修のスケジュールを決めました。

 ナゾンベ教育区11校のうち10校に対して、ライフスキル教科書に各教科書に固有参照番号付きのラベルを貼って供与しました。

◇5月

 ナゾンベ教育区の11校目にライフスキル教科書を供与。ナゾンベ教育区の対象校すべてで完了しました。
 
 ナゾンベ教育区において父母リーダーへの集合研修を5月8日から毎週2日水曜日と金曜日に実施(5月20日の週を除きます)。講師は各研修テーマに適した県行政官、およびナゾンベ教育区センター調整助手、パロンベ教員養成大学講師の3名です。5月8日と10日の研修では JICA マラウイ事務所がモニタリングを実施しました。
 
 ベースライン調査として、村人への質問票調査をナゾンベ教育区の3校の通学圏の各3村、計9村、計62名に実施しました。
 
 ナゾンベ教育区で研修終了後の父母リーダーによる各校での保護者向け学習会が2校で実施されました。計18名の父母リーダーが、研修で学んだことを計77名の学校間関係者と一般保護者に伝えました。

 クランベ教育区の対象校12校のうち8校で父母リーダー希望者から事業参加申込書を受け取り、各校において活動を説明して参加の同意を得ました。また質問票調査を実施しました。
 
 クランベ教育区 12 校のうち 5校に、ライフスキル教科書を各教科書に固有参照番号付きのラベルを貼って供与しました。

 

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2023年11月 1日 (水)

マラウイでの活動 月間報告―2023年4月~9月

 パロンベ県初等学校保護者参加による教室建設―外務省日本NGO連携無償資金協力事業(N連)

CanDoは、2021年2月10日に開始した、パロンベ県初等学校保護者参加による教室建設事業を6月31日に完了しました(2023年2月9日までの事業実施期間を3月31日、次に6月31日まで延長)。2校で教室棟(2教室と2小部屋)、3校で1教室、2校で小規模な教室が完成しました。

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この事業は、先行事業のN連「パロンベ県教育施設改善に関する初等学校保護者の参加意識の強化事業」(2019年1月~2020年3月)で、保護者参加の実践として倉庫を建設した13校のうち9校を対象として、当初は2校で教室棟(2教室と2小部屋)、7校で1教室を2年間で建設する計画でした。

建設には、環境保全を考えて、焼成はせず、セメントと土、砂を混ぜて圧縮して作る、土壌安定化レンガ(SSB)を使用。1教室に必要なSSB9,000個を第1年次に最初に完成した2校を教室棟(SSB18,900個)の対象校、残り7校を1教室建設の対象校としました。
7校のうち3校は1教室の建設で進めましたが、2校は小規模な建設(SSB5,000個)に変更しました。

残り2校は途中終了となりました。1校はSSB製作の初期の段階で活動が止まり、もう1校は小規模建設の開始に一般保護者と建設リーダーが同意せず終了しました。

3月にサイクロン・フレディに見舞われたとき、教室の多くが避難所や物資倉庫として活用されました。

■ライフスキル教育を基盤とした子どもの教育と健康・安全を保障する活動形成事業
―(独行)国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業*(パートナー型)

*草の根技術協力事業は、日本のNGO、大学、地方自治体及び公益法人の団体等が企画した協力活動をJICAが支援し、共同で実施。実施にあたっては、JICAとNGO等との間で業務委託契約書を締結し、JICAがNGO等に事業を委託する形で実施します。

3月、JICA東京センターから「ライフスキル教育を基盤とした子どもの教育と健康・安全を保障する活動形成事業」(2023年11月1日~2026年10月31日)が、採択案件として決定、との通知がとどきました。

◇6月
・当会の東京事務所にJICA東京の担当者が来訪して、事業の枠組みについて打ち合わせをしました。

◇7月
・パロンベ県知事、教育局長とJICAマラウイとの事業の合意の枠組みを協議しました。

◇8月
・マラウイ教育省とJICAとの合意枠組み協議への実施に参加しました。
・JICAマラウイとパロンベ県知事との枠組みの合意形成への実務に参加しました。

◇9月
・JICAマラウイ(立会人はCanDo)とパロンベ県知事(立会人は県教育局長)が事業の合意書に署名しました。

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